【コールセンターの立ち上げスケジュール】必要なステップや手順をまとめ

昨今は多種多様な営業ツールが活用されていますが、電話による顧客へのアプローチは現在でも重要な営業手法の1つとなっています。さらにより多くの顧客へ効率的に営業活動を行う上で必要不可欠なのが、コールセンターの存在です。

コールセンターを立ち上げる場合には、立ち上げる「目的」を明確化し、それに見合った手順を踏まなければ有用なコールセンターにはなりません。

そこで、今回は「コールセンターの立ち上げスケジュール」として、コールセンターを新たに立ち上げる際に必要なステップや手順を詳しくご紹介いたします。

 本当に必要?企業におけるコールセンターの役割

「初めてコールセンターを立ち上げる」「これまでコールセンターの運用経験がない」といった場合には、コールセンターが企業において果たす役割を押さえておきましょう。

コールセンターが果たす主な役割としては、以下のようなものがあります。

  • 電話対応の負担軽減
  • 顧客満足度の向上
  • 顧客の「声(アンケート)」の収集
  • 売上げの向上

コールセンターに「何ができるのか」を把握しておくことで、コールセンターを立ち上げる意味や目的、目標が設定しやすくなります。

コールセンター立ち上げの手順を詳しく解説!

 コールセンター立ち上げ時に必要な手順は、6つのステップに分けることができます。それぞれの手順について、どのように進めていけばいいのかわかりやすくご紹介いたします。

ステップ1.コールセンターの「コンセプト」を設計する

まずは企業全体、及び事業で決められた目的を基準に、新しく立ち上げるコールセンターをどのようなゴールに向け、どのような方針で運用していくかを設計する必要があります。

この部分の設計が不十分なまま進めてしまうと、後にコールセンターのメンバーとして割り当てられるオペレーター等が、どのようなモチベーションで業務を遂行すべきなのか、自分達にどんな役割が求められているのかが曖昧なままになってしまいます。

また、仮に景気が悪化したり、経営不振に陥ったりしても、コンセプトがしっかりしていれば、コールセンター運営の本質に立ち返ることができます。

【インバウンド型】

インバウンド型のコールセンターでは、顧客からの疑問や相談といった問い合わせを「受け付ける」業務が中心となります。

具体的には以下の通りです。

・商品やサービスの購入・申し込み・使い方についての質問

・不具合が起きた時の連絡

電話口で顧客を長時間待たせないことや、あらゆる問い合わせにスムーズに案内すること、理不尽なクレームを発展させないこと等が、良いインバウンド業務の条件としてあげられます。

【アウトバウンド型】

アウトバウンド型のコールセンターでは、インバウンド型とは反対に、オペレーター側から顧客に対して電話をかけ、アポイントやアンケート調査等の業務を行います。

一般的に「テレアポ業務」と呼ばれる、見込み顧客へのセールスもアウトバウンド業務の一種です。

効率的な架電が実現すると、より多くの顧客にアプローチができ、アウトバウンド業務の効果を高められます。

 ステップ2.現状調査とKPIの設定

次に行うのは、現状の課題を把握するための「調査」です。既存のコールセンターの有無にもよりますが、顧客との窓口を担う部署を対象に以下のような調査を行い、課題をあらかじめ洗い出しておきます。

  1. 運用ルールに問題はないか
  2. オペレーターに対するマネジメントや教育の体制は整っているか
  3. システム環境に過不足はないか

その後、課題の改善や目的達成のためのKPI(Key Performance Indicator・重要業績評価指標)を設定します。KPIはステップ1で設定した目的やゴールを達成するための中間目標という位置づけになります。コールセンターにおける一般的なKPIには、応答率や顧客満足度、平均通話時間(ATT)等があります。

このステップで設定する目標は、コールセンターに携わる従業員全体に共有し、浸透させることがコールセンターを成功させるポイントです。

ステップ3.業務プロセスを設定する

コールセンター立ち上げ後の円滑な運営を実現するために「日々のコールセンター業務をどのような手順・プロセスで行っていくか」を設計します。

例えば、以下のような事柄を検討し決定する必要があります。

  • 目的達成のためのマネジメント・報告方法
  • 指揮命令系統や各ポジションに付与する権限
  • 災害時・緊急時の運用方法(BCP対策)

上記のうち、3つめのBCP対策は「緊急時のためのものだから」と後回しにするのはNGです。近年自然災害が増えている日本において、企業は常に一定の業務停止リスクを抱えています。新型コロナウイルス感染症の例でもあるように、感染症や地震等の災害によって「通常」の概念はたやすく崩れます。

しかし、たとえ緊急時であっても、コールセンターには顧客からの問い合わせが発生します。電話が繋がらない状況に陥らないよう、緊急時に継続すべき機能や早期復旧すべき機能等はこの段階で精査しておきましょう。

ステップ4.システムの構築

コールセンターのインフラとなる電話やCTIシステム、ネットワーク等、必要な設備を整備していきます。さらに必要であれば、CRMシステム等の付随する業務システムを導入していきましょう。

ただし、導入して終わってしまうのではなく、継続した運用ができるように、自社業務にとって最適なシステム構築を行い、検証期間を通してテストし、問題無く業務を行えるかチェックしておくことが大切です。

ステップ5.必要な人材・就業形態・制度の整備

コールセンターには、実際に顧客対応を行うオペレーターやチームリーダーに加えて、管理者の立場であるコールセンター長やSV(スーパーバイザー)と呼ばれる人材が必要となります。ステップ2で設定した業務プロセスに応じて、適切なポジションと役割を配置していくと効果的です。

さらに、コールセンター立ち上げ時には顧客対応だけではなく、商品やサービスについての研修等を通じて、オペレーターに情報をインプットしてもらう時間も必要です。このような研修を社内で行う場合には、講師の役割を担う人材も選んでおかなければなりません。

また、オペレーターにシフト制で勤務してもらう場合には、シフトに関するルール作りも必要です。

 ステップ6.各種マニュアルの作成

全ての準備が整ったら、業務をスムーズに開始・運用できるように各種マニュアルを作成します。

例えば、オペレーター向けの資料としては、以下のようなものがあげられます。

  • 製品・サービスを理解できる資料
  • 基本的なトークスクリプト
  • クレーム対応マニュアル
  • 業務に関するFAQ
  • 機器やシステムの操作マニュアル

他にも、センター長やSVといった管理者向けの「勤怠管理マニュアル」や「業績評価を行うための資料」等も合わせて作成しておく必要があります。

利用者ごとに分けて作成しておくことで、自分に必要なマニュアルが参照しやすくなります。また、マニュアルを含めた資料等も、立ち上げ時に整備して終わってしまうのではなく、日々の業務を通じてより良いものにブラッシュアップしていくことが重要です。

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