在宅コールセンターの仕組みやシステムについて解説

人材不足が年々深刻化しているのがコールセンターの現状です。全国での有効求人倍率は1.3倍と、高い数値を維持しています。この解決策の1つとして普及し始めているのが、オペレーターが自宅から勤務する在宅コールセンターです。
しかし、コールセンターシステムの構築やセキュリティ面等、導入に際しては複数の注意点があります。
そこで、ここでは在宅コールセンターの仕組みやシステムについて詳しくご紹介いたします。

コールセンターはテレワーク化が難しい?!その理由は

一般的にはコールセンターのテレワーク化は難しいとされています。それは一体何故なのか、具体的な理由についてご紹介いたします。

電話番号・フリーダイヤルの共有ができない

一般的なコールセンターには「PBX」と呼ばれる電話交換機システムが設置してあり、1つの電話番号やフリーダイヤルを複数のオペレーターが共有して受信・発信ができるようになっています。
電話の一斉発信や電話の保留、別の電話機への転送等がPBXの機能です。しかし、離れた場所では物理的にPBXが使えないため、共通の電話番号やフリーダイヤルを利用することはできません。

情報漏洩のリスクが高まる

コールセンターには企業が持つ顧客情報やあらゆるノウハウが集積している場所です。テレワーク化することにより、上記のような機密情報に社外からアクセスできるようになるため、結果的に情報漏洩のリスクも高まります。特に個人情報の漏洩は社会からの信頼を大きく損なう要因になり、場合によっては莫大な賠償責任を負わなければならない可能性も出てきます。
さらに、企業情報が外部に漏れるのは、ビジネスとしてマイナスにしかなりません。セキュリティの観点から考えるとリスクが大きすぎるとして、テレワーク化に踏み出せない企業もまだまだ多いという現状があります。

トラブル時、担当者や上司にすぐつなぐことができない

様々なトラブルの種やクレームが入るのがコールセンターです。その中には、担当者にしかわからない問い合わせや決裁権を持った上司でなければ判断できないクレーム等も多く寄せられます。
テレワーク時にこのようなトラブルが発生した際には、一旦電話を切ってから担当者や上司に電話で説明し、顧客へ電話をかけ直してもらう必要があります。
この方法はどうしても時間がかかり、直接電話転送するよりも明らかに顧客を待たせることになるので、さらなる不満を引き起こしやすくなります。
トラブルを迅速に解決できないことは、企業全体への不信感にもつながるため、できるだけ早い対応が求められます。

オペレーターの仕事状況を把握しづらい

管理者視点から見ると、ワンフロアで全て完結しているコールセンターならオペレーターがどのように仕事をしているかを目で見て把握できますが、テレワークは顔が見えないまま、遠隔で働くオペレーターの仕事状況を管理しなくてはなりません。これは、オペレーターの応対品質や勤怠管理にもそのまま連動し、大きな課題となります。
各オペレーターが「適切な時間をかけて丁寧な応対をしているか」「電話に出ずに業務をおろそかにしていないか」「対応に戸惑い、クレームの要因を引き起こしていないか」等を知るための仕組みが必要となります。

在宅コールセンターの悩みを解決!業務を行うために必要な仕組み・システムは?

上記では、在宅コールセンターを導入する難しさについてご紹介しましたが、ある一定の仕組やシステムを導入することで、問題が解消し、導入可能になるケースも多くあります。

在宅でコールセンター業務を行うためには、どのような仕組やシステムを導入するべきなのでしょうか。

ここでは「セキュリティ対策」「コールセンターシステム」「勤怠管理システム」等、具体的に必要なシステムを詳しくご紹介いたします。

セキュリティ対策が施されたパソコン環境

在宅でコールセンター業務を行う際、最も懸念されることが、企業が所持している個人情報や顧客情報の漏洩です。オペレーターがオフィス外で業務を行うテレワークでは、セキュリティ対策の範囲が広がるため、セキュリティ関連のリスクを理由にテレワークの導入に踏み切れないコールセンターも多くあります。しかし、パソコン環境の整備をしっかり行えば、セキュリティレベルを下げることなく在宅でコールセンター業務を行うことが可能となります。

例えば、オペレーターの在宅勤務率が高いコールセンターでは、以下のようなセキュリティ対策を実施して、情報漏洩の保護を行っています。

  • セキュリティ対策が施された専用のPCをオペレーターに貸し出す
  • VPN(仮想専用線)を導入し、オペレーターの勤務場所とコールセンターを安全に接続する
  • Web会議システムやチャットツールを用いて、オペレーターの勤務状況を適宜モニタリングする

このようなセキュリティ対策を実施することで、テレワーク環境でも安全にコールセンター業務が可能となります。

オンラインで利用可能なコールセンターシステム

もう1つ重要な課題として「管理者の目が行き届かないところで、応対品質を維持することができるのか」といった懸念が多くあがります。在宅勤務のオペレーターの稼働状況を「見える化」するためには、オンラインで利用可能なコールセンターシステムの導入がお勧めです。

コールセンターを通じて、以下のようなことが可視化されます。

  • 通話時間
  • 稼働率
  • サービスレベル
  • 平均応答速度
  • 平均処理時間

これらの指標を数値等で可視化することにより、通常のコールセンター業務と同等の品質管理が実現できます。

勤怠管理システム

テレワークで勤務しているオペレーターの労働時間を管理するため、勤怠管理システムの導入も必要です。厚生労働省では、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に対するガイドライン」において、オフィス勤務・テレワーク勤務を問わず、全ての労働者に対し労働時間を適切に管理することを企業側に求めています。

参考:厚生労働省:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

オペレーターの離職率をできるだけ下げるためにも、勤怠管理システムを導入し、オペレーターの労働時間を適正に管理することが大切となります。

FAQ管理システム

テレワーク環境では、コールセンターのようにオペレーターや管理者が同じ部屋に集まっているわけではないため、単独での業務となり、今まで以上に自己解決できる環境作りが大切となります。

そこでお勧めしたいのが「FAQ管理システム」です。FAQ管理システムを導入した上で、オペレーター用のFAQを作成することにより、よくある質問やトークスクリプトの一覧、マニュアル等をすぐに探せるようになり、自己解決の向上や問い合わせ対応時管の削減につながります。

また、あわせて顧客用のFAQを作成しておくと、顧客側も問い合わせ前にFAQで自己解決をするようになり、問い合わせ数の削減や顧客満足度の向上につながります。

 オペレーター同士・オペレーターと管理者間との連絡手段

離れた場所でもコールセンターにいるかのようにオペレーター同士で連携が取れる、管理者との連絡が取りやすくなるよう、連絡手段を確保することも大切になります。

例えば、対応中の案件や休憩に入ること等をテキストチャットで共有する、SV(スーパーバイザー)とのビデオチャットで応対についてのアドバイスやフィードバックを受けたりすることで、在宅オペレーターも安心して仕事ができるようになります。

 在宅コールセンターは「仕組み」と「システム」の構築で実現できます

今回は在宅コールセンターを構築するための仕組みやシステムについてご紹介いたしました。在宅コールセンター業務は、コールセンター業務における人材不足や、災害時における業務停止等の課題を解決する有効な手段として注目が集まっています。

在宅コールセンターを構築する際には、機器の貸与やオペレーターのサポート体制の充実、さらには適切な勤怠管理・人事評価の整備も必要となります。自社の規模や状態等に応じて、最適な仕組みやシステムの構築を行っていくことをお勧めいたします。

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