CTIシステムが活躍するコールセンターのオムニチャネルとは?
近年「オムニチャネル化」と呼ばれる「企業と顧客の接点を多様化する」という概念が台頭してきました。
コールセンターでは、これまでは電話という接点しかありませんでしたが、メールやチャット、LINE等でもコールセンターに連絡できるようになってきています。
コールセンターのオムニチャネル化には様々なメリットがあります。そこで、今回はオムニチャネルとは何か、さらにはメリットやオムニチャネルにする方法等についてご紹介いたします。
コールセンターのオムニチャネルとは?
コールセンターのオムニチャネルとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。ここでは、オムニチャネルについての詳細と、よく混同されがちな「マルチチャネル」との違いについて詳しくご紹介いたします。
オムニチャネルとは?詳しく解説
オムニチャネルとは、企業と顧客の情報接点や販売の経路等を全て統合し、総合的に顧客へアプローチを行う方法のことを指します。「全て」という意味を持つ「オムニ」と、「流通経路」「販売経路」の意味を持つ「チャネル」を組み合わせた造語になります。
コールセンターは電話のイメージが強くありますが、昨今ではEメール、FAX、チャット、SNS、アプリ等様々なコミュニケーションツールを利用しています。それらのどの手段を使っても顧客に一貫したサービスを提供できるようになるのがオムニチャネルです。オムニチャネルは、複数のチャネルでの顧客の声や履歴を統合するので、どのチャネルからでも同様のサービスを受けることができます。
オムニチャネルとマルチチャネルの違いは?
オムニチャネルと似た用語として「マルチチャネル」があります。マルチチャネルとは、複数のチャネルが独立しており、顧客に対してそれぞれのチャネルを提供するという考え方です。
一見するとオムニチャネルに似ていますが、マルチチャネルはそれぞれのチャネルが独立して存在しており、オムニチャネルのように統合や連携、一元化はされていません。
別々のチャネルとして存在し、それぞれを単独で管理していくのが、オムニチャネルとの違いです。
例えば、小売業の販売店で、店舗毎に在庫情報や顧客情報を管理しており、店舗同士のデータが連携されていない場合は、マルチチャネルという扱いになります。
コールセンターでオムニチャネルにするメリット4つ
上記でもご紹介したように、コールセンターでオムニチャネルにするメリットは様々なものがあります。コールセンターをオムニチャネル化するメリットはどこにあるのでしょうか。代表的なメリットについて、4つに絞ってご紹介いたします。
1.顧客満足度の向上
電話・SNS・チャット・FAX等、問い合わせに選択肢があることは顧客にとっても大きなメリットといえます。
しかし、メールであらかじめ問い合わせをしていた顧客がさらに詳しい話をするためにコールセンターに電話をかけた際、メールでの問い合わせ内容が共有されておらず、また最初から説明しなければならない状況になってしまうと、顧客は「不便さ」を感じてしまいます。
そこで、オムニチャネルで情報を連携させておくことにより、オペレーターは速やかに顧客の情報と問い合わせ内容を理解し、適切な対応を取ることができます。
説明の手間が省けるだけではなく、顧客に「自分のことを知ってもらえている」「大切にされている」と感じてもらうことは、今後の顧客対応にもプラスに働きます。
2.機会損失の防止
オムニチャネルで複数チャネルの情報を把握することは、機会損失の防止にもつながります。
例えば、電話が混み合っていてコールセンターになかなかつながらない場合、チャットへの切り替えができていれば、顧客は待つことなく問題解決が可能です。
特に、現代はスマートフォンの普及により「待つことが苦手になった」といわれています。顧客を待たせることなく、スピーディーな対応ができることは、機会の損失を防ぐためにも非常に重要なメリットです。
3.データの一元化による情報の活用
オムニチャネル化をすると、データを一元化することが可能になり情報が活用されやすくなるというメリットがあります。複数チャネルが分断されているマルチチャネルの状態では、顧客のデータはそれぞれのチャネルごとに蓄積されることになりますが、これでは顧客情報の一元管理は難しい現状があります。
そこで、オムニチャネル化し、全てのチャネルのデータを統合すれば、複数チャネルの情報を大きな1つのデータとして有効活用できます。
データのありかを探し回る手間も減り、社内でのデータ活用も促進されます。
4.タッチポイント(顧客との接点)の増加
複数チャネルを展開することにより、タッチポイント(顧客との接点)が増加することもメリットの1つです。複数の接点があることで顧客は自分のやりやすい方法で問い合わせをしやすくなり、購入のハードルとなっている疑問点をスムーズに解消できます。
タッチポイントの増加は、サービス利用数の維持や向上にも一役買ってくれます。
コールセンターをオムニチャネル化する方法
コールセンターをオムニチャネル化するには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切となります。
主に「IVRを利用する」「CTIシステムを利用する」「AIを活用する」の3つが重要視されます。この3つのポイントについて、わかりやすくご紹介いたします。
IVRを活用する
IVR(Interactive Voice Response)は「自動応答装置」のことを指します。例えば、最終的にはオペレーターが対応しなくてはならないような問い合わせの場合、顧客からの電話に対してIVRに設定された音声ガイダンスを最初に流します。顧客は音声ガイダンスに従って当てはまる番号を口頭やプッシュボタンで操作し、適切な担当者で振り分けます。
企業がオムニチャネル化を図り、複数のチャネルが増えると、オペレーターの増員だけではなくそれ以上の人手が必要となります。IVRを導入することで、オペレーターの負担を軽減し、生産性を高めることにつながります。オムニチャネル化には欠かせない機能です。
CTIシステムを利用する
CTIは「Computer Telephony Integration」の略で、日本語に訳すと「コンピュータ電話統合」となります。CTIシステムは、コールセンターシステムの土台となるシステムで、コンピュータで管理している情報とオペレーターの電話を連動させているため、ワンクリック架電やオートコール、オペレーターへの受電振り分け、通話内容の録音等多彩な機能が使えます。
また、顧客情報を管理するCRMシステム、営業支援のSFAシステムと連動させることで、営業活動を通して蓄積した顧客情報をオペレーターへ共有できます。CTIシステムの中には入電を電話に限定せず、メールやチャット、LINEが扱えるものもあり、そのようなCTIシステムを導入すれば一気にオムニチャネル化を進めることも可能です。顧客データの蓄積が進めば進むほど、より精密な顧客ニーズの分析が可能となります。
AIの活用
AIの活用もオムニチャネル化には効果的です。AIは「音声やチャットボットによる自動応答」「会話の文書化とデータ化」等が可能です。また、AIは大量のデータを分析し、そこから一定の傾向を探り出すことを得意としています。そのため、膨大な顧客情報や応対結果等を分析し、最適なレコメンド(お勧め)の選出や、オペレーターのスコアリング等、豊富な機能でコールセンターの運用を後押ししてくれます。
AIは元になるデータが大量にあればあるほど、正確な予想を出せるようになります。企業内で最も顧客データが蓄積されるのは、オムニチャネル化したコールセンターです。進化し続けるAIを活用するのも、オムニチャネル化を促進します。
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コールセンターにおけるオムニチャネル化が進むと、顧客はいつでも、どのような場所でも問い合わせすることができ、よりサービス提供がスムーズになります。顧客満足度の向上にも大きく貢献するでしょう。
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