コールセンター業務をテレワーク対応するときの課題と解決方法
2020年、新型コロナウイルスという未曾有のパンデミックが日本を襲い、世の中が大きく変わり始めました。あらゆる業界で「デジタル化」と「リモート化」への対応が加速する中、コールセンターでも「テレワーク化(在宅勤務)」が徐々に浸透しつつあります。
しかし、今まで何回も機会があったにもかかわらず、コールセンターのテレワーク化はなかなか進みませんでした。その問題・課題は一体どこにあるのでしょうか。
今回は、コールセンター業務をテレワーク化する際の課題と、現在可能な解決方法について、詳しくご紹介いたします。
何が「問題」となっている?コールセンター業務をテレワーク化する課題とは
コールセンターのテレワーク化がなかなか進まず、企業によっては検討段階で止まってしまっていることもあります。コールセンターのテレワーク化には、何が「問題」となっているのでしょうか。
コールセンター業務をテレワーク化する際の課題について、詳しくご紹介いたします。
1.セキュリティ面での問題
コールセンターで情報を扱う際には、顧客の個人情報管理は重要視すべき問題です。テレワークでは各オペレーターが自宅のネット回線を使って業務を行うため、必ずしも高い水準のセキュリティ対策が行なわれているとは限りません。
通信環境がオペレーターによって異なることにより、顧客の個人情報が漏洩するリスクが高まってしまうのが、第一の問題です。
一度情報が漏洩してしまうと顧客からの信頼を回復するためにはかなりの時間がかかり、場合によっては賠償問題に発展する可能性もあります。
コールセンターのテレワークをためらうのは、何よりもセキュリティ面での不安が高いといっていいでしょう。
2.品質管理が難しくなってしまうという問題
もう一つの問題は、コールセンターの管理者やSV(スーパーバイザー)が、オペレーターのスキルレベルやその変化を把握することが難しくなることです。
テレワークでのコールセンター業務は、管理者が現場で指導するケースとは異なるもので、オペレーターのこれまでの経験や能力、スキル等が対応品質に大きく影響します。特に新人教育を行う場合、テレワークでの教育が難しくなり、オペレーターの状態を把握しにくくなります。
また、コールセンターが一カ所に集約されていれば、全体に目が行き渡るため管理がしやすく、トラブルがあってもすぐに対処しやすいというメリットがあります。
しかし、テレワーク化すると全体の管理を行うのが難しくなるだけではなく、トラブルが発生した際すぐに対応することが難しくなってしまいます。
この「品質管理」の問題から、テレワーク化を断念する企業も多いようです。
3.労務管理における問題
最後は、労務管理の問題です。コールセンターの現場にいれば、オペレーターの勤務状況を実際にチェックできますが、テレワーク化することにより管理者側がそれを把握することが非常に困難になります。
また、コールセンター業務は顧客からのクレーム対応が必要になるケースも多く、ストレスを感じやすい職種です。従業員が1人でストレスを抱え込み、精神的な問題を引き起こす等、大きな問題に発展するリスクも多くあります。
他にも、専用の勤怠システムにはコストがかかること、勤務中の態度が視覚化できず正確な評価ができにくいといったことが在宅勤務の普及が進まない理由にもなっています。
これで解決できる!テレワーク化が進む課題の解決方法3選
上記でご紹介したテレワーク化を阻害する課題は、IT技術の進歩等で解決可能な段階にまで来ています。
どのように解決していけるのか、上記でご紹介した課題とリンクさせながら、解決方法について詳しくご紹介いたします。
1.セキュリティ面の問題=セキュア環境を整える
セキュリティの課題解決には、まずセキュア環境を整えることが大切です。これは利用する端末やソフトウェア、ネットワークのセキュリティがしっかりと担保されていることを意味します。
具体的には、端末やソフトウェアは企業側があらかじめキッティング(インストール済であること)したものを用意し、オペレーターに郵送します。ネットワークに関してはルーター等の機器がセキュリティ対策をしていることはもちろん、社内ネットワークにアクセスする際にはVPN(仮想回線)対策や、PC上にデータを残さない「シンクライアント環境」を準備する必要があります。
また、いわゆるヒューマンエラーの予防もセキュリティ対策には求められます。性善説に基づき最低限の対策にするのか、性悪説に基づいてログの監視やカメラと連動した本人認証まで導入するのかは、企業の方針によりますので、しっかりと確認していきましょう。
2.品質管理の問題=オペレーターや管理者のスキル等をチェックする
品質管理の問題はオペレーターや管理者、SVのスキルやコミュニケーション力、そもそもテレワーク化に向き不向きか等、様々な切り口から検討することが必要です。
また、オペレーターでは対応が難しい場合、ベテランのオペレーターや管理者、SV等に対応を依頼する「エスカレーション」はコールセンターに欠かせない要素ですが、これは直接通話することが難しいため、チャットでの対応が基本となります。
そのため、ある程度ブラインドタッチやキーボード入力に慣れ、テキストコミュニケーションが可能な人材でないと成立しない可能性があります。入力のスピードはもちろん、要点を文章にまとめる文章力等も重要です。
その他にも、そもそもエスカレーションが発生しないよう、FAQやマニュアルの充実も重要です。これらから自力で答えを見つけ出す力があれば、エスカレーションの減少につながります。近年ではAIシステムと組み合わせることでFAQを自動的に抽出してくれるものもあるので、活用してみるのもいいでしょう。
3.労務管理における問題=モチベーション管理や精神的ケアも視野に入れる
労務管理の問題については、企業側がどこまで性善説・性悪説に従うかによって大きく異なります。
基本的にはPBX(電話交換機・接続制御システム)へのログインやログアウト、「対応中」や「離席中」等のステータスによって管理していきます。
また、見逃されがちな問題として、オペレーターのモチベーション管理や精神的なケアもテレワーク化において大切な要素です。
まず、大前提としてテレワークが合う人と合わない人がいることを理解しましょう。その上で、定期的な管理者とオペレーターの面談(1on1)、チャットやバーチャルオフィス等によるコミュニケーションの場を設ける等の対策が必要となります。
また、労務管理は企業により千差万別です。すでに導入している同業他社の事例を参考にする、実際にテレワーク化を進めたことのあるコンサルティング会社等、外部の知見を生かしていくことも、成功確率を高める要素となります。
コールセンターに求められる「BCP対策」もテレワーク化に拍車をかける
ここまで、コールセンターのテレワーク化における課題と解決策についてご紹介してきましたが、もう一つ大きな切り口の問題点があります。それが「災害対策」です。
1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、そして2020年の新型コロナウイルス感染症問題を経験し、政府は企業に「事業継続計画(BCP対策)」を求めるようになりました。大災害やパンデミックの際、企業活動が麻痺しないよう、企業に事前の対策を打ち出すことが重要視されるようになってきています。
このBCP対策において、コールセンターのテレワーク化は「拠点戦略」として非常に有効です。バラバラにオペレーターをあえて分散させ、災害時やパンデミック時でも自宅で通常通りコールセンターを稼働させられるというのは「これから必要とされるサービス」であることに間違いありません。
また、コールセンターのテレワーク化は、上記でご紹介した拠点戦略の他にも、現在コールセンターで働くオペレーターに「新しい選択肢」を与えることが可能です。オフィスまで行かなくても、自宅で業務ができる…この新しい選択肢は、「働く機会を多くの人に与える」という意味でも、大きな意義があるといえるでしょう。
コールセンターのテレワーク化にも「Mostable」は効果的!ぜひご検討下さい
弊社シナジーが開発したCTIシステム「Mostable」は、クラウド型CTIシステムのため、本社や支店、代理店だけではなく、テレワークも一点集中で管理し情報を共有することが可能です。リアルタイムの連携が各拠点を結ぶことで、コールセンターとしてのチーム力を高める一助になります。
また、PCに不慣れなオペレーターでも、すぐに扱える「操作性」を追求しました。年齢や経験にとらわれることなく採用の幅が広がり、人材確保のコスト削減や業務の効率化にも繋がります。
コールセンターのテレワーク化にも「Mostable」は効果的です。導入時にはぜひご検討下さい。